自民党の小泉進次郎議員は多くの人から人気がある一方で、過去の実績などから悪い評価をする人も多い。しかし彼に関する情報の中には、事実とは異なるものや印象操作のようなものも多く散見される。そこで今回は小泉進次郎氏にまつわる誤解・印象操作についていくつか解説する。
レジ袋有料化は小泉進次郎氏の前の大臣が決めた
レジ袋の有料化は開始直後から現在に至るまで評判が悪い制度であるが、実はこれを決めたのは小泉氏ではない。
経済産業省
時系列を整理すると以下のようになる。
- 2018年10月4日 原田義昭環境相(当時)がレジ袋有料化に関する発言をし、環境省がその方針を固めた。
- 2018年11月 日本経済団体連合会(経団連)もレジ袋有料化を義務付ける意見書をまとめた。その後もレジ袋有料化への動きが進んでいった。
- 2019年6月3日 原田環境相がレジ袋有料化に必要な法令の制定を表明
- 2019年9月11日 小泉氏が環境相に就任
- 2019年12月27日 容器包装リサイクル法の省令改正により正式な導入が決定
- 2020年7月1日 レジ袋有料化開始
このように小泉氏が就任した時にはレジ袋有料化への動きはかなり進んでおり、その時点では既定路線だったのである。小泉氏の在任中に始まったレジ袋有料化であり、当然ながら大臣としての責任はあるわけだが、彼の思い付きで決めたというのは誤りである。
議員立法ゼロは印象操作
「議員立法がゼロ、つまり議員としての仕事をしていない」というは正確ではなく、印象操作である。これは以下のポストで分かりやすく解説されている。
【「進次郎は議員立法数ゼロ」は印象操作】
https://x.com/shinjiroouen/status/1837487078747394270
進次郎さんが、議員立法をこれまでしていないことについて揶揄したり非難したりするポストが見受けられますが、これは印象操作です。 法案の作られ方は2種類あり、国会議員が法案をつくる「議員立法案」と、内閣が法案をつくる「内閣提出法案」があります。 成立する法案のほとんどが「内閣提出法案」であり、その際に与党審査があります。 国会に提出する前に、与党内でその法案を審議することを指します。自民党であれば「政務調査会」のことです。 与党議員は、この場でしっかりと自分の考えを述べ、法案に反映することができます。 進次郎さんは、政務調査会の農林部会長を歴任するなど法案作成に携わってきました。 一方で、議員立法は政府与党ではない「野党」が提出することが多いです。
このサイト(https://kokkai.sugawarataku.net/gikai/grrr00.html…)で立法数のランキングを見ると、上位の現職はほとんど立憲民主党議員です。 ちなみに高市早苗候補は10本の議員立法をしていますが、そのうち9本が野党時代で、この10年ほどはゼロです。これは与党として、内閣提出法案に携わってきたことを示しています。
いずれにしても、与党議員の場合はほとんどが議員立法数はゼロです。なので進次郎さんが立法数ゼロという点を強調することには意味がありませんし、むしろ議員の中で進次郎さんだけが全く仕事をしていないかのような、誤った印象を与えかねません。 このような印象操作は、総裁選における建設的な議論を歪めてしまうことにつながります。断固として異議を唱えます。 #小泉進次郎 #自民党総裁選2024
「議員立法案」と「内閣提出法案」の2種類があることと、与党と野党では法案の提出プロセスが異なることを理解していないと引っ掛かってしまう印象操作だ。
この件に限らず、制度や慣例を理解していないと気づけない印象操作はSNS上で多く見られる。有識者によるリプライやコミュニティーノートがあれば気づくことができるが、それがない場合も過激なポストには反射的に反応しないように心がけたい。
「おぼろげながら浮かんできたんです」はただの思い付きではない
「おぼろげながら浮かんできたんです 46という数字が」という有名な小泉構文は2021年4月24日にAbemaTVの番組で生まれたものである。前日に国際首脳会議「気候変動サミット」があり、菅総理大臣が2030年度の温室効果ガス削減目標を「2013年度比26%減」から「2013年度比46%減」に引き上げる方針を表明した。番組内では、この数字を決定した小泉環境相に対してインタビューが行われた。
元の発言は、2021年4月24日の放送で「くっきりとした姿が見えてるわけではないけど、おぼろげながら、浮かんできたんです。46という数字が」というものである。これだけ見ると「ただの思い付きかよ!」と受け取られかねないが、実はそうではなかった。こう釈明している。
どういう感覚かというと、1%とか0.5%とか、色々な要素を組み立てて、なるほど遠くにあるけど届きそうだ、まるで船に乗っていたら、ようやく島影が見えてきて、これなら行けるかもしれない、ということ。それを“おぼろげながら見えてきた”と言った。
「最初から高みを目指して交渉や調整をしないとたどり着けない領域というものがある。積み上げをする中でだんだん頭が合ってきて、行け、最初は30%台だったものがだんだん上がってきた、そしてようやく46%と言えそうだ、と。それを“おぼろげって言ったら“駄目だ”と。本当に難しいし、あまり考えすぎると上手くいかなくなるときもあるので…」と胸中を明かした。
ABEMA TIMES
つまりこういうことだろうか。
原文 | 訳(想像) |
---|---|
くっきりとした姿が見えてるわけではないけど | 削減目標に組み込む様々な要素を数%ずつ積み上げていく。ある要素は5%分のボリュームがあるが4%程度が現実的か。こっちの要素は現状6%分あるが施策を増やして8%まで増やせるかどうか。予算も限りがある。どれが何%行けるかははっきり見えない。 |
おぼろげながら、浮かんできたんです | 削減する要素はこの組み合わせではダメ。この組み合わせはまだ足りない。この組み合わせは達成が困難。あ、これならいけるかも… |
46という数字が | この内容なら現実的に46%を達成できそうだ! |
要するに、決してただの思い付きではなく、しっかり考えて決めた目標だった。簡単に考えられる内容ではなく、ああでもないこうでもないと試行錯誤をしていく中で「おぼろげに」実現可能な目標として46%が見えてきたということだ。
まとめ
以上、小泉進次郎氏に関して誤解されがちな点について解説した。
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